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睡眠

睡眠の重要性と基礎知識

投稿日:2015年11月25日 更新日:

睡眠の重要性と基礎知識

睡眠障害という用語はsleep disturbance として主に不眠症状を指す場合と、不眠症やSASなど全ての睡眠関連疾患(sleepdis,)rders)を総称する場かがあり、本邦では極めて混同され誤解を生じやすいものとなっています。このため、睡眠障害という用語の使用を避け、睡眠の分断など睡眠そのものの障害をsleep disturbancc、疾患としてのsleep disordersを睡眠関連疾患としてそれぞれ使用します。

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1.はじめに 〜睡眠への関心と危機〜
睡眠やsleep disturbance (睡眠障害ドを引き起こす不眠症、睡眠時無呼吸症候群(Sleep Apnea Syndrome ; SAS)など睡眠関連疾患への関心が高まっています。これまで大学病院など研究的な施設でのみ行われていた睡眠医療が、欧米のように一般病院やクリニックでも提供されるようになり、われわれの施設にも既に9.000名の患者さんが受診しています。睡眠は対策の重要性が増してきたうつ病などのメンタルヘルスとも関連が深く、また、愉しという言葉があちらこちらで聞かれるようになり、「癒し」として、より快適にぐっすりとした眠りが希求されるようになってきたことも関係するでしょう。しかしながら、最近になって急速に睡眠への関心が高まっている最大の要因は、現代の生活が睡眠をないがしろにしすぎたことにあると思われます。自然がありふれていれば、少しぐらい森林を失うことには無頓着でいるでしょう。ところが、あちらこちらで森林が伐採されコンクリートに変わり大規模に緑が失われるようになると、自然破壊は切実な問題と感じるようになります。科学の進歩や生活水準の向上によって、インターネットやテレビ、コンビニと、昼間と遜色のない生活を夜間にも送ることができるようになりましたが、われわれに与えられている1日は24時間であることには変わりはありません。結果として睡眠時間が削られ、日本人は過去40年間に50分の睡眠時間を短縮することになりました。自然が決して無駄なものではなく地球のために必要なように、睡眠は無駄な時間ではなく生体に備わった決して無視できない重要な機能です。医療機関を受診する患者さんの中にも睡眠不足の患者さんは多いのですが、その多くは自分の眠気が睡眠不足によると気づいていないことに愕然とせざるをえません。大人の睡眠時間の短縮は子供にも深刻な影響を及ぼしていることも見逃せない問題です。神山は、1970年には午後10時以降に眠る3歳児が20%程度であったのに対し、2000年には50%を超え睡眠時間が短縮していることを報告し、大人たちの夜ふかしや睡眠不足は子供に影響を及ぼし、その結果がキレる子供を増やした要因の1つではないかと警告しています。

2.眠らないと何が起こるのか?
睡眠は単なる休息としての受動的な役割だけでなく、発達や免疫、記憶の整理などに関してもっと積極的な役割を果たし、決して1日の1/3を浪費している無駄な時間ではありません。動物を眠らせないようにした断眠実験では、睡眠を奪取した動物の皮膚に炎症と脱毛が生じ、低体温や食欲が増加しても体重が減少し、最後には死亡することが報告されています。人間での断眠実験の最長記録は高校生によるものでI1日間ですが、その結果では血圧や呼吸など身体面では問題を認められなかったものの、断眠が72時間を超えると、怒りっぽく
なるなどの性格変化、幻覚など精神的な変調を生じました。これは、この最長記録の断眠実験の被験者だけでなく、健康な成人を対象とした他の断眠実験でも72時間を超えると精神的変調を生じることが報告されており、脳機能の低下した高齢者ではもっと短い時間でも精神的変調を生じる可能性があります。全く睡眠をとらない断眠だけでなく、普段の睡眠時間の短縮も大きな問題を生じます。睡眠時間を1日に2時間、2週間にわたり短くすると一晩徹夜したのと同じ脳のパフォーマンスに低下すると報告されています。睡眠時間の短縮は身体的にも影響を及ぼします。シカゴ大学の研究グループは、睡眠時間を8時間から6時間、4時間と短縮した場合、耐糖能の異常、副腎皮質ホルモンの日内変動の変調、交感神経活動の亢進といった異常を生じ、生活習慣病や老化を促進させると結論しています。
それでは何時間の睡眠時間をとればよいのでしょうか。米国および本邦の大規模な調査によると、これまで考えられてきた8時間よりも7時間の睡眠をとっている人の方が死亡率が低いことが報告されています。しかしながら、こうした大規模な研究では対象とした人の合併症などについての検討を十分に行っておらず、8時間以上の睡眠をとっている人の中には身体や精神的な疾患を持っていることが多いと考えられ、7時間が最も健康に良いとする結論には議論があります。

3.睡眠の生理学的知識

1ノンレム(NREM)睡眠とレム(REM)睡眠

成人の一晩の睡眠経過の模式図

成人の一晩の睡眠経過の模式図

 

およそ90分(80〜110分)のノンレム・レムサイクルが3〜4回繰り返され、一晩の睡眠となります。深いノンレム睡眠(段階3と段階4)は睡眠の前半に多く、レム睡眠は睡眠の後半に多いという特性があります。高齢者では、深いノンレム睡眠が減少し、浅いノンレム睡眠や中途覚醒が増え、不眠を生じやすくなります。

睡眠は、ノンレム睡眠とレム睡眠の2種類の睡眠が80〜110分の周期で3〜4回繰り返されて一晩の睡眠となります。 REM とは急速眼球運動(Rapid Eye Movement)の頭文字です。この時期に覚醒させると生き生きとした夢体験を報告することが多いのが特徴です。ノンレム睡眠は成人では睡眠の80%を占め、最も浅い段階1から最も深い段階4までの深さがあります。また、深いノンレム睡眠は睡眠の前半に多く、レム睡眠は睡眠の後半に多いという特性があります。年齢とともに睡眠時間や睡眠構築などは変化します。幼児や小児では睡眠時間が長く深いノンレム睡眠やレム睡眠が多く、高齢者では深いノンレム睡眠が減少し、中途覚醒が増加し睡眠は悪化し昼寝の時間が増加します。幼児では不眠がほとんどなく、高齢者では不眠が増加するのはこうした加齢による影響が大きいのです。

2睡眠と覚醒(睡眠覚醒リズム)
睡眠は覚醒と切り離して考えることはできません。睡眠覚醒リズムには主に2つの要因が関与しています。 1つは睡眠ホメオスタシスによる要因(覚醒している時間の長さ)で、覚醒している時間が長くなればなるほど睡眠の圧力が増加し、増加した睡眠の圧力は睡眠をとることにより減少します。もう1つは体内時計による影響です。動物は昼行性動物と夜行性動物に分かれますが、人間は昼行性動物であり光のある昼間に活動し、夜に活動を体止し睡眠に入ります。徹夜すると深夜から早朝にかけて非常に眠気は強くなり朝から昼にかけて
いくぶん眠気が減少しますが、これはこうした体内時計の影響によるのです。
体内時計の影響を受け24時間に近いリズムで変動を示すものをサーカディアンリズム(概日リズム)と呼びますが、睡眠覚醒リズムと密接な関係を持つサーカディアンリズムは体温とメラトニンのリズムです。体温は夕方頃に最高となり早朝に最低となりますが、体温の最高点から体温が下降する頃に眠気が出現し、体温の最低点から上昇する際に覚醒します。メラトニンは覚醒して14〜16時間後に分泌されますが、光の影響を受け強い光を浴びると抑制される特性があります。このメラトニンという生体ホルモンの役割は不明ですが、催眠作用
と睡眠覚醒リズムの調整作用があり、メラトニン受容体作動薬という新しい作用機序の睡眠薬の開発も行われています。体内時計の影響を受けた体温や副腎皮質ホルモンなどの生体ホルモンのサーカディアンリズムと睡眠覚醒リズムは普段は同調していますが、時差のある旅行や交代制勤務、夜勤などでは睡眠覚醒リズムと生体ホルモンなどのリズムとが合わなくなり脱同調という現象が生じます。本来なら、体温が下降する際に入眠し、上昇する際に覚醒するべきところが、時差ぼけは体温が上昇する際に入眠し、下降する際に覚醒するために
生体ホルモンのサーカディアンリズムと睡眠覚醒リズムに脱同調が生じ、睡眠や覚醒がうまくとれず、強い倦怠感などの状態を引き起こす現象です。
睡眠覚醒リズムは2,500ルクス以上の強い光の影響を受けて変化します。2.500ルクス以上の光は特殊な照明器具でないと人工的には浴びることができませんが、日光では2.500ルクスを遥かに上回る光を浴びることができます。光を浴びる際にはタイミングが重要で、朝の光を浴びると睡眠覚醒リズムは前進し早寝早起きができるようになり、夕方の光は睡眠覚醒リズムを後退させ遅寝遅起きのパターンに変化させます。

不眠症と主な睡眠関連疾患の病態と診療

不眠症

1.なぜ眠れなくなるのか?—睡眠のメカニズム
実は睡眠のメカニズム自体がまだ不明な点が多く、なぜ眠れなくなるのかもよくわかっていません。乳児や幼児は今まで遊んでいたと思うと急に眠ってしまいます。小学校の低学年までは不眠は少ないのに、小学校の高学年になると修学旅行で眠れなかったという経験をした人はまれではありません。睡眠のメカニズムを簡単に説明すると、昼間の交感神経系の活動が優位である状態が副交感神経系優位の状態に変わることによって覚醒.から睡眠へとスイッチすることです。乳児や幼児ではその切り替えがスムーズであるのに対し、大人になる
と昼間のストレスなどからその切り替えが難しくなります,乳児が眠くなると手足が暖かくなることに気がつきますが、これは副交感神経が優位となり末梢血管が拡張するためです。

2.不眠症の定義
不眠を訴える人は多く、不眠があると回答するのは本邦では約20%に及ぶという報告がありますが、不眠であると回答した全ての人が不眠症としての治療を必要とするわけではありません。たとえ、入眠困却や早朝覚醒といった不眠があったとしても、著しい苦痛や日常生活に支障がなければ不眠症ではないのです。すなわち、不眠症は客観的な所見ではなく、あくまで本人の自覚症状によります。このため、たとえば終夜睡眠ポリグラフ検査による客観的な睡眠の評価では十分と判断される睡眠時間や質も認められる慢性不眠症のタイプ(睡眠状態誤認)もあります。

3.慢性不眠症の経過
睡眠は生体にとって重要な働きであることは事一実ですが、慢性不眠症では睡眠が不十分であることに対する過剰な心配や不安感が問題である場合も少なくありません。不眠に対する心配や不安が覚醒水準を上げ、そのために覚醒から睡眠に入るのが困難となります。慢性不眠症では昼間の交感神経系活動も高く過覚醒状態にあり、夜間だけでなく24時間を通した病態と言えます。不眠はうつ病などのリスクを高めますが、不眠が遷延しても死亡率が高くなるわけではなく、睡眠時間と死亡率の関係を報告した前述の米国の大規模な調査でも、不
眠症と不眠症でない人の間では死亡率に有意な差は認められていません。

4.原発性不眠症と二次性不眠
不眠症(lnsomnia Syndrome)は単一の疾患ではなく、疾患群です。国際分類(lnternationaI Classification of Sleep Disorder : ICSD)における精神生理性不眠症や睡眠状態誤認などが原発性不眠症のカテゴリーの中に入りますが、睡眠時無呼吸症候群、レストレスレッグズ症候群、概日リズム睡眠障害、睡眠中の異常行動などsleep disturbance を生じるほとんど全ての睡眠関連疾患で不眠症状を呈します。また、睡眠関連疾患による不眠だけでなく、他の疾患や薬剤などによる二次性不眠(symptom)もあります。
うつ病や統合失調症などほとんどの精神科的疾患でも不眠となりますし、呼吸器疾患や著しい掻痒感(そうようかん)を伴うアトピー性皮膚炎、関節リウマチなど疼痛を伴う身体疾患の患者さんでも不眠はよくある症状です。嗜好品や薬剤によってはsleep disturbanceを生じることがあります。カフェインや喫煙、そしてアルコールも不眠の原因の1つとなります。薬剤では、ステロイドやテオフィリンなど覚醒水準を上げる薬剤を特に日中の遅い時刻に服用すると夜間の入眠を妨害します。β遮断薬や選択的セロトニン再取り込み阻害薬(SSRDなどでも同様のsleep disturbance を生じる可能性があるのですが、こうした副作用は案外知られていません。鎮静作用のある薬剤は、日中の早い時刻に服用すると、日中の眠気や仮眠をもたらし不眠の原因となります。特に高齢者ではこうした薬剤の睡眠への影響が出現しやすく、薬剤の服用量や服用時刻を適切に調整することが重要なポイントです。

5.不眠のタイプと要因
不眠はその訴えから、①入眠困難②中途覚醒③早朝覚醒④熟眠感欠如の4つに分けられますが、これらは1つだけではなく、合併していることも多いのです。このタイプを把握することは睡眠薬の短時間作用型あるいは中・長時間作用型薬剤の選択の際に重要な指標となります。
不眠は単独の要因で出現するのではなく、多くの要因が関与します。①素質的要因(Predisposing Factors(②促進的要因③永続的要因(Perpetuating Factors)という3つの要因の合計が不眠閾値を超えると不眠となるという理論は、臨床的にも利用しやすいモデルです。

不眠の理論的モデル

不眠の理論的モデル

 

不眠閾値を超えなければ不眠は生じませんが、不眠閾値を超えると不眠を生じます。元来、素質的要因の大きい不眠の予備状態の人では旅行や心配事などの促進的要因が加わると不眠闇値を超えてしまい不眠となります(急性不眠)。促進的要因が消失あるいは減少しても、長時間の臥床など睡眠にとって悪い習慣などの永続的要因が加わると慢性不眠となります。

素質的要因は個人の特性で、不安やうつになりやすい性絡や、幼児期からの夜ふかし傾向は不眠を生じやすくさせます。促進的安囚とは、急性の環境の変化やストレスであり、旅行などによる寝室環境の変化や自分や家族の病気といった精神的ストレスもこの中に入ります。素質的要因に急性の促進的要因が加わって起こる急性の不眠は、多くの場合一時的に生じた促進的要因が消失すれば解消します。しかしながら、永続的要因が生じると不眠は慢性化してしまいます。
夜になると眠れるかどうか不安になりリラックスできず過覚醒状態となったり、夜間の睡眠がとれないために長時間の臥床や昼寝をとることが永続的要因となって不眠を悪化させます。

6.薬物療法と非薬物療法
不眠症の治療には薬物療法と非薬物療法があります。薬物療法としては睡眠薬が処方されることが多く、現在、主に利用されているのは、医療機関で処方されるベンゾジアゼピン系睡眠薬、あるいはほぽ同じ作用機序を持つ非ベンゾジアゼピン系睡眠薬、およびOTCとして販売される抗ヒスタミン薬です。その他、米国では塩酸トラゾドンなどの鎮静作用を持つ抗うつ薬が睡眠薬として処方されることもあります。
薬物療法の良い点は、不眠の原因を問わず、即座に極めて有効であり長期の服用によって生じる重大な副作用がほとんど生じないことです。しかしながら、一方では不眠の解決として必要な患者さんの認知や生活習慣の改善が棚上げされ、自分の力で解決していくべきことがないがしろにされてしまいやすいということが問題です。また、長期間連続して睡眠薬を服用すると効果が減弱してしまうことも問題です。本邦では睡眠薬よりもアルコールを飲んで睡眠をとる人が多いことが報告されていますが、これは日本人は自然と対峙することよりもむしろ共生を好む心性と関連しているように思われます。本来、自然にとれるはずの睡眠を薬物という人工物によってしかとれないことに納得できないことは当然とも言えます。「睡眠薬を拒否する患者さんにどのように指導すれば納得させられますか。」という質問をよく受けますが、いくら睡眠薬が安全であるということを患者さんに対して説明したところで、納得させることは難しいのです。睡眠薬を拒否したいというのは、むしろ、患者さんの健康的な側面であることを受け止めて、睡眠薬服用の必要性を十分に話し合う必要があります。
非薬物療法への取り組みが不十分なことも本邦における課題です。非薬物療法が不眠症治療のもう1つの柱なのですが、治療効果が現れるのには時間がかかることや、その主体となる認知行動療法は本邦ではうつ病やパ二ック障害など精神科的疾患の治療でもなじみが少なく医療ではあまり行われていません。
しかしながら、睡眠衛生に関してはセルフケアレベルでも利用でき、軽症の不眠症では有効であることも多く、利用価値は高いと思われます。

7.睡眠衛生(睡眠に関する生活習慣)
糖尿病や高血圧など生活習慣病の治療において食事や運動などの生活習慣に気をつけるのと同様に、不眠の改善を図るために睡眠衛生に気をつけることは重要です。コーヒーや緑茶などのカフェイン飲料は、摂取してしばらくしてから覚醒作用をもたらし、4〜6時間以上も作用が持続する可能性があるため、夕方以降はカフェイン飲料の摂取を控えたほうがよいでしょう。米国ではノンカフェイン飲料はよく利用されます。日本のスターバックスでもデカフェ(カフェインレス)のコーヒーが注文できますが、利用する人はほとんどありませ
ん。緑茶のカテキンが健康に良いとされることから、夕方以降も緑茶を飲む慢性不眠症患者も少なくありません。ナイトキャップによる睡眠にも注意が必要です。アルコール飲酒は入眠を促進し、睡眠の前半は深いノンレム睡眠の出現量が増加し中途覚醒も少ないのですが、睡眠の後半では浅いノンレム睡眠や中途覚醒が増加し一晩を通すと睡眠が悪化します。また、慢性のアルコール飲酒では中断するとそのリバウンドが生じ、睡眠が正常化するまでには6ヵ月から1年以上必要とされます。
慢性の不眠患者さんでは、長時間の臥床傾向や昼寝をする傾向があります。
睡眠時間/臥床時間×100(%)を睡眠効率と言いますが、この睡眠効率をできるだけ85%以上にしなければなりません。慢性不眠症の患者さんでは、たとえば睡眠時間が6時間であるのに、眠れないからといって臥床時間が12時間と極めて長く6/12×100(%)と睡眠効率が50%に低下したりします。この場合、患者さんの指導としては分子である睡眠時間を大きくすることではなく、分母の臥床時間を制限することがポイントとなります。臥床時間を7時間とすれば睡眠効果は85%以上となります。日光を浴びることも重要ですが、その浴びる
時間は不眠のタイプによって選択します。夜遅くまで眠れず朝が起きにくい不眠であれば、起床時に日光を浴びると睡眠覚醒リズムが前進し夜の寝つきがよくなり起床が楽になります。こうしたタイプの不眠症の患者さんでは、休日に夜ふかしして朝寝坊となることも多いのですが、休日の夜ふかし朝寝坊は休日に前進させなくてはならない睡眠覚醒リズムを後退させ不眠を遷延させます。

不眠や睡眠障害(sleep disturbance)を生じる主な睡眠関連疾患

1.睡眠時無呼吸症候群(Sleep Apnea Syndrome ; SAS)
睡眠時無呼吸症候群は、①呼吸努力はあるものの上気道の閉塞により生じる閉塞型睡眠時無呼吸症候群(Obstructive Sleep Apnea Syndrome ; OSAS)と、
②脳卒中など中枢神経系疾患や神経・筋疾患などのために呼吸努力が認められない中枢型睡眠時無呼吸症候群(CentraI Sleep Apnea Syndrome ; CSAS)に分けられますが、CSASはまれであり一般的にはSASとした場合はOSASを意味します。上気道の完全な閉塞による無呼吸と部分的な閉塞の低呼吸の病的意義は同じなので、OSASの代わりに閉塞型睡眠時無呼吸・低呼吸症候群(Obstructive Sleep Apnea/Hypopnea Syndrome ; OSAHS)と呼ばれることもあります。
SASでは、上気道の閉塞により覚醒を生じ睡眠を分断化させ日中の眠気を生じ、また、低酸素や高炭酸ガス血症を生じ交感神経系を亢進させ高血圧を生じるなど身体的合併症を生じます。肥満、顔面の形態異常(下顎の後退、小顎症など)などにより解剖学的な狭小化かあると、睡眠中の上気道の閉塞が生じやすくなります。覚醒中は上気道開大筋群の緊張により機能的に代償していますが、睡眠中にはこれら筋群の活動は低下するために生じると考えられます。

上気道閉塞のメカニズム

上気道閉塞のメカニズム

 

咽頭腔は柔らかいチューブと考えられます。肥満や上気道の形態的問題(下顎の後退など)は咽頭腔を圧迫します。上気道拡大筋群の筋活動は咽頭腔を開放させるように作用します。睡眠、加齢、アルコール、睡眠薬や精神安定剤などによって上気道拡大筋群の筋活動は減弱します。
(Douglasによるものを改変。Douglas NJ : lnvestigating the sleepy patient ln Clinicians’ guide to sleep medicine. Arnold,London.2002,p.135-148)

睡眠中の無呼吸・低呼吸は加齢とともに増加しますが、特に女性では、筋緊張活動を高め睡眠中の無呼吸・低呼吸を防いでいる女性ホルモンの低下する更年期以降にその頻度が増加します。

● 診断と検査
SASは症候群で、臨床症状と客観的所見により診断されます。臨床症状としては日中の眠気や倦怠感が主であり不眠を訴えることは少なく、睡眠時無呼吸・低呼吸に伴う睡眠の分断というsleep disturbance により熟睡感の欠如や夜間のトイレ覚醒を訴えることがあります。高齢者の不眠症患者さんで睡眠検査を行うと、しばしば睡眠時無呼吸や低呼吸を認めます。高齢者においては加齢により睡眠時間の短縮だけでなく睡眠構築(睡眠の質)も悪化するので、こうした睡眠構築の悪化が加齢による影響か無呼吸・低呼吸による影響かの判断が難しい場合が少なくありません。
診断のための検査としては、脳波により睡眠の質の評価も可能な終夜睡眠ポリグラフィや、睡眠についての情報は得られないものの簡便な無呼吸モニターが利用されます。パルスオキシメーターが利用される場合もありますが、重症SAS患者さん以外では見逃すことが多く、パルスオキシメーターで正常であってもSASを除外することはできません。
一般的には1時間あたり睡眠中の無呼吸・低呼吸回数(Apnea-Hypopnea lndex;AHI)によって重症度(①軽症5 /hr. 以上15/hr.未満②中等症15/hr.以上30/hr.未満③重症30/hr.以上)が分けられますが、臨床的には重症度や治療方針はAHIのみではなく日中の眠気、合併症、年齢などにより、判断されます。

● 治療

1)生活習慣の改善
SAS患者さんの多くは肥満を伴っており、減量は他の生活習慣病のリスクを減らすためにも重要です。しかしながら、ダイエットのみで治療が成功することは少なく、重症や合併症のあるSAS患者さんの多くの場合、経鼻的持続陽圧呼吸(nasa1 Continuous Positive Airway Pressure ; nCPAP)治療を必要とします。睡眠薬、精神安定剤、アルコールは上気迫間大筋群の緊張を低下させ、睡眠中の無呼吸・低呼吸を増加させるため、可能であれば減量や中止が望まれます。筋弛緩作用の少ないゾルピデム(マイスリー)でも影響を及ぼす可能
性はあり、未治療の重症SASの患者さんでは特に注意が必要です。慢性閉塞性肺疾患(COPD)とSASの合併するoverlap syndrome では原則禁忌です。喫煙も咽頭部の腫脹を招くため避けることが望まれます。軽症であれば、閉塞方向に重力のかかる仰臥位を避け、側臥位で眠ることで改善することもあります。

2)経鼻的持続陽圧呼吸(nCPAP)療法
鼻(もしくは口・鼻)マスクを介して気道に陽圧をかけ、上気道の閉塞を改善させる治療法です。 1981年Sullivanらが有効性を報告し、1990年頃からSAS治療の中心となりSASの第1選択の治療となっています。適切な圧を加えることにより閉塞型呼吸イベントを消失させることができ、コンプライアンスが良ければ、その効果は劇的である場合が多いのですが、長期にわたって使用を継続する必要があることや、元々日中の眠気が軽微な患者さんでは使用効果がはっきりしないことから、コンプライアンスが悪い場合も少なくありません。

3)口腔内装具(Oral Appliances : OAs)
睡眠中に下顎を前進させやや開口位で固定することで咽頭の間夫を図る治療法で、2004年4月より歯科で健康保険の適応として認められました。一般的に原発性いびき症や軽症SASの患者さんで、肥満の程度が軽く、側臥位で呼吸異常が改善しやすい患者さんで適応となります。手軽に使用できることは大きな利点ですが、nCPAPに比べて有効性が少ないことや長期成績が不明であるといった問題点があります。

4)手 術
本邦では従来、いびき、SASに対する治療として、口蓋垂軟口蓋咽頭形成術(UPPP)が広く行われてきました。しかし、欧米からの報告では有効率が約50%と低く合併症の問題もあることから、現在は第1選択の治療としては考えられていません。小児のSASでは増殖したアデノイドや口蓋扁桃肥大が上気道閉塞の原因となることが多く、手術による治療が第1選択です。

5)薬物療法
現在のところ、SASに対して保険適用となっている薬剤はアセタゾラミド(ダイアモックスりのみですが、その有効性には疑問も多くあまり使用されません。また、三環系抗うつ薬や漢方製剤女性ホルモンなどがSASの治療に有効であったという報告がありますが、十分な評価がなく一般的には使用されません。

2.レストレスレッグズ症候群(Restless Legs Syndrome ; RLS)
下肢のムズムズするような異常知覚のために「動かすのを耐えがたい衝動」を主症状とします。この感覚は夕方から夜間にかけて出現することが多く、座位やベッドに臥床すると増悪し、歩き回るなど下肢を動かすと軽減します。この異常知覚のために顕著なsleep disturbance を生じ、重症例ではほとんど夜間に眠ることができなくなります。昼間でもバスや飛行機の座席、映画館や理髪店のイスなど、長時間座り続ける状況では非常に強い異常感覚が出現します。
主として下肢に出現しますが、重症例では上肢などにも出現することがあります。欧米では5〜15%と有病率が高くSASの次に多い睡眠関連疾患と言われていますが、本邦では高齢者でも1.4%程度と報告され、また、あまり困っていないsubclinicalなレベルの人が多く、RLSを生じやすい腎透析の患者さんを除くと医療を必要とするRLSの患者さんは欧米ほど多くはないのではないかと思われます。
RLSの原因は明らかではありませんが、中枢神経系のドパミン系やドパミン系の酵素に関わっている鉄代謝の異常によるものではないかと推測されています。 RLSの生じやすい基礎疾患として鉄欠乏性貧血、慢性腎不全、腎透析、妊娠、末梢神経炎、糖尿病、薬剤性(炭酸リチウム、三環系抗うつ薬)などが報告されています。治療ではRLSは患者さんにとって非常に苦痛となるため、原因と考えられる薬剤があればその中止あるいは変更が望まれます。鉄欠乏のある場合(血清鉄が正常であっても、貯蔵鉄のフェリチンが低下していれば治療の対象)は鉄剤を処方します。カフェインはRLS症状を悪化させるため、カフェイン飲料は控えさせ、下肢のストレッチや散歩なども有効です。
軽症であれば睡眠薬は有効ですが、重症例では睡眠薬を服用しても眠れず、覚醒水準が低下したままで眠れず、苦しい異常感覚から落ち着かずに歩き回ることもあり注意が必要です。本邦ではクロナゼパムがよく処方されますが、筋弛緩作用が強く、また、腎透析などの重症例では無効であることも少なくありません。タリペキソール(ドミン)、ropinirole(本邦未発売)、ペルゴリド(ペルマックス)などのドパミン作動薬やL-DOPA製剤が著効します。処方は少量から開始し、RLS症状の強い時間を考えて服用時刻を検討する必要があります。副作用として悪心や嘔吐などの他に、昼間や上肢にRLS症状の出現を認めることがあります。特にL-DOPA製剤の作用時間は短いために注意が必要です。オピオイド(リン酸コデイン)も有効ですが、ドパミン製剤に比べて効果が少なく耐性が出現しやすいという問題があります。

3.周期性四肢運動症(Periodic Limb Movement Disorder;PLMD)
周期性四肢運動(Periodic Limb Movements ; PLMS)は主として下肢に0.5〜5秒の周期的(5〜90秒)に起こり、足関節、足趾の背屈が生じ、時には膝関節、股関節を屈曲させる運動が生じます。 PLMSは必ずしも病的なものではなく、特に高齢者での出現率は45%と極めて高率に認められます。レストレスレッグズ症候群の約80%の患者さんでPLMSを伴います。PLMSにより覚醒反応が出現するとsleep disturbance を生じ不眠や日中の眠気の原因となり、周期性四肢運動異常症(Periodic Limb Movements Disorder ; PLMD)とされてい
ますが、RLS以上にsubclinicalな人が多く、PLMSにどの程度病的な意義があるのか議論のあるところとなっています。

4.概日リズム睡眠障害
睡眠相後退症候群(Delayed Sleep Phase Syndrome ; DSPS)は、入眠、覚醒の時間が通常より3〜6時間も後退し極端に遅寝、遅起きの状態となるため、患者さんは入眠困難を訴え日中の活動や社会生活に支障を訴えて受診します。しかしながら、臨床的には原発性のDSPSの患者さんは少なく、むしろ、不登校や社会への適応の問題から二次的にDSPSを呈している場合が多いのです。

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睡眠相後退症候群では就寝および覚醒時刻が通常の睡眠相に比べ遅くなり、高齢者に多い睡眠相前進症候群では就寝および覚醒時刻が通常に比べ早くなります。最近では、就寝時刻が正常の睡眠相より後退しているものの覚醒時刻は普通の覚醒時刻に近い適応型睡眠相前進症候群の人が増えています。こうした人の平日の睡眠時間は短く、睡眠負債の返済のために休日は平日に比べ睡眠時間が長く、覚醒時刻が非常に遅い傾向があります。

昼間は社会への適応という現実を受け入れなくてはならない時間帯のために、朝や昼間に睡眠をとることは現実を逃避する一種の疾病利得となり、表面的には患者さん本人が治療を希望していても抵抗が働く場合が少なくありません。
こうした場合、睡眠覚醒リズム異常を主体として治療を行っても改善が得られることは少なく、また、改善を認めても一時的な効果しか認めません。ヒトの体内時計は24時間よりも長く、睡眠相(睡眠の時間帯)を前進させるよりも後退させる方が容易です。たとえば午前0時に入眠している人では、就寝を3時間遅らせて午前3時まで起きて眠ることはそれほど困難ではありませんが、就寝を3時間早めて午後9時に眠ることは難しいのです。このため、1日3時間ほど睡眠相を後退させて理想の睡眠覚醒リズムに戻す時間療法や、早朝に強い光を浴びて睡眠相を前進させる光療法、メラトニンなどによる薬物療法などが試みられています。 DSPSほど顕著ではないものの、subclinica1な睡眠相後退を有するDSPSの適応型の人は増えています。夜ふかし型の生活や夜間も明るい照明で過ごすことは睡眠相を後退させ入眠困難となり、まだ、本来は睡眠相である時期に覚醒するために日中の眠気や倦怠感を生じます。
高齢者では、午後7〜8時と就寝時刻が早く午前3〜4時に覚醒してしまう睡眠相が前進する睡眠相前進症候群(AdvanceSleep Phase Syndrome ;ASPS)が生じやすくなります。中途覚醒や早朝覚醒、熟睡感の欠如など不眠や日中の倦怠感などの症状がなければ、必ずしも治療の必要性はありませんが、患者さんに支障があれば夕方に散歩や軽い運動などにより覚醒水準を上げ、光を浴びることで前進した睡眠相を後退させる指導を行います。

睡眠薬の臨床薬理

睡眠薬の特徴と選択基準

睡眠薬はその化学構造式からバルビッール酸系、非バルビッール酸系、ベンゾジアゼピン(BZ)系、非BZ系の4種類に分けられます。
バルビッール酸系睡眠薬はBZ系睡眠薬が登場するまでは汎用されていましたが、BZ系に比べて依存や耐性が形成されやすく、急な服薬中断により激しい離脱症状を起こします。現在ではその使用は、不穏、興奮状態の患者さんの鎮静や、急性で、かつ短時間で改善できそうな場合に限っています。代表的な非バルビッール酸系睡眠薬はブロムワレリル尿素ですが、習慣性や依存を起こしやすいので、やはり現在ではほとんど使用されません。
現在は耐性や依存が少なく安全性(常用量と致死量の幅が大きい)が高いので、睡眠薬の主流はBZ系睡眠薬になっています。非BZ系睡眠薬はBZ受容体を介して、BZ系と同様の作用機序に基づき睡眠作用を現すので、BZ系受容体に作用する薬物・ベンゾジアゼピン受容体作動薬として同グループにまとめることができます。以下はBZ系睡眠薬について述べます。

ベンゾジアゼピン(BZ)系睡眠薬
1.作用機序
BZ系および非BZ系睡眠薬はともにBZ受容体に結合することにより作用を現します。

GABA受容体の模式図

GABA受容体の模式図

 

上の図は、GABAa(γ-アミノ酪酸)受容体とBZ受容体複合体の模式図です。CIイオンチャンネルを分子構造内に内蔵している受容体で、5つ(2個のa、2個のβ、1個のγ)のサブユニットからなっています。BZ系薬剤がサブユニットに結合することでGABΛの作用を増強し、CIイオンチャンネルの開く頻度を増加させて、CIイオンの細胞内への流人が起こり、神経活動を抑制することによって様々な作用を発揮します。

2. BZ受容体について
上記のGABA、受容体BZ受容体複合体を構成しているa、β、バこは、それぞれサブユニットか存在します。BZ系薬剤に関係するサブユニットとして、αには6種類(a4、a6はBZに親和性なし)、β、バこはそれぞれ3種類あります。そしてBZ受容体は、2種の中枢型として1型、2型またはω1、ω2と末梢型のω3受容体に分類されています。末梢性のω3受容体は腎、肝、心臓、精巣など末梢臓器に広く分布し、中枢型の受容体とは全く異なり、催眠作用には関与しません。BZ受容体は薬物選択性と体内分布によって薬理作用が現れます(表1)。

ラットやマウスにおけるBZ受容体の分類と作用

ラットやマウスにおけるBZ受容体の分類と作用

 

たとえば、ω1受容体の代表的なサブタイプの組み合わせ(選択性)はa1β2γ2で、鎮静・催眠作用を現します。

3.薬理作用
ω1、ω2受容体両方に結合する(非選択性)BZ系の薬剤は、催眠・鎮静作用のほかに抗不安作用、抗けいれん作用、筋弛緩作用などを有しています。睡眠作用が比較的強いものが睡眠薬として使用されます。従来のBZ系および非BZ系睡眠薬のほとんどがω1、ω2受容体には選択性がありません。ω1受容体選択性の高い睡眠薬としては、1999年にクアゼパム(ドラール)、2000年にゾルピデム(マイスリー)が発売されています。ω2への親和性が低いため筋弛緩作用や運動失調が少ないとされています。

4.体内動態
薬物の体内動態は吸収、分布、代謝、排泄に規定されます。吸収された薬物は腸管や肝臓で代謝を受けます。薬物代謝には主に肝臓の代謝酵素が関与し、脂溶性薬物をより水溶性の高い代謝物に変化させて腎臓から排泄されます。すなわち酸化反応、ニトロ還元化反応などを受けた後にグルクロン酸抱合を受けます。酸化反応はチトクロームP450(CYP)により行われますが、睡眠薬の代謝に最も深く関与している分子種はCYP 3A4です。

睡眠薬の代謝経路↓

BZ系睡眠薬の代謝経路、関与する酵素

BZ系睡眠薬の代謝経路、関与する酵素

 

代謝物の中には活性のあるものも存在するので、消失半減期はそれらも含めて考慮しなければなりません。半減期により表3のように超短時間型、短時間型、中間型、長時同型の4つに分類します。

ベンゾジアゼピン・同類似薬

ベンゾジアゼピン・同類似薬

実際の使用に際しては薬剤の力価(等価換算参考)と消失半減期を指標の1つにし、薬剤を選択します。
高齢者では一般に代謝、排泄は遅延され、副作用が出現しやすいので、ゾルピデム(マイスリー)、ゾピクロン(アモバン)、ブロチゾラム(レンドルミン)などの超短時同型や短時同型の薬剤を低用量(成人の半量程度)から開始します。
肝機能が低下している場合には、代謝経路がグルクロン酸抱合のみで単純なロルメタゼパム(ロラメット、エバミール)が適しています。

5.睡眠薬依存性不眠と臨床用量依存
睡眠薬依存性不眠:耐性とは、同様の効果を得るために必要とされる薬物量が、連用とともに効果がなくなることです。 BZ系薬物は、バルビツール酸系薬物に比べて耐性が形成されにくいと言われていましたが、耐性形成を生じ、時に臨床用量を上回る睡眠薬を服用しないと眠れない睡眠薬依存性不眠の生じる場合があります。

睡眠薬依存性不眠の悪循環

睡眠薬依存性不眠の悪循環

臨床用量依存:BZ系薬物は常用量では依存が起きにくいとされていましたが、不安や不眠の改善のために長期間、常用量のBZ系睡眠薬を服用し、症状が改善したので急に中止すると反跳性不眠あるいは不安、振戦、発汗、焦燥感などの離脱症候(退薬症候)が出現し、不眠が再燃することがあります。実際には患者さんが医師の指示を待たずに服薬を中断することが少なくありません。急な中断による不眠や不安の症状が増悪するのを、症状の再燃と考え、常用量依存とは気づかないことが問題です。このように症状が改善しているのに反跳性不眠や離脱症候が出現するために服薬を中止できない状態を臨床用量依存と呼び、最近問題になっています。

BZ系睡眠薬の相互作用

1チトクロームP450(CYP)が関与する場合

BZ系睡眠薬は脂溶性のものが多く、その代謝においてチトクロームP450(CYP)が関与し酸化を受けます。したがってCYPを阻害したり、あるいは誘導するような薬剤との併用は注意が必要です。
●BZ系睡眠薬の効果を減弱させる薬剤(CYP酵素誘導するもの)
抗てんかん薬:カルバマゼピン(テグレトール、テレスミンな ど)、フェニトイン(アレビアチン、ヒダントールなど)、フェノバルビタール(フェノバールなど)
抗結核薬:リファンピシン(リマクタン、リファジンなど)
●BZ系睡眠薬の効果を増強させる薬剤(CYP酵素阻害するもの)
抗真菌薬*1:フルコナゾール(ジフルカン)、イトラコナゾール(イトリゾール)
マクロライド系抗菌薬:クラリスロマイシン(クラリス、クラリシッド)など)、エリスロマイシン(エリスロシン)など
ケトライド系抗菌薬:テリスロマイシン(ケテック’)
カルシウム拮抗薬:ジルチアゼム(ヘルベッサー)、ベラパミル(ワソラン)、ニカルジピン(ペルジピン)
抗ウイルス薬:インジナビル(クリキシバン)、リトナビル(ノービア)
ヒスタミンH2遮断薬:シメチジン*1(タガメット)
SSRI(selective serotonin reuptake inhibitor)*2:フルボキサミン(ルボックス、デプロメール)

*1:ゾルピデムは特異的CYP阻害薬であるシメチジンや抗真菌薬、ジゴキシンにより代謝に影響がなかったとする報告が、またワルファリンのプロトロンビン時間に影響を与えなかったとする報告がありますが、ゾルピデムが複数のCYPにより代謝されるので、相互作用を受けにくいと考えられます。
*2:フルボキサミンはCYPIA2、CYP3A4を阻害。パロキセチン(パキシルりはCYP2D6を阻害しますが、CYP2D6はBZ系睡眠薬の代謝への関与はわかっていません。SNRI(serotonin noradrenalin reuptake inhibitor)のミルナシプラン(トレドミン)は相互作用が少ないと言われています。
●グレープフルーツはCYPを阻害するので、BZ系睡眠薬の効果を増強させます。
2中枢神経系の抑制に基づくもの(作用が類似)で、作用を増強するもの
・抗精神病薬
・抗ヒスタミン薬
・バルビツール酸系薬剤
・三環系および四環系抗うつ薬
・エタノール(アルコール)
BZ系睡眠薬の添付文書に記載されている相互作用をまとめました↓

相互作用一覧

相互作用一覧

BZ系睡眠薬の作用が減弱するのはリファンピシンの酵素誘導による場合のみで、他は全部作用が増強されます。

BZ系睡眠薬の副作用

一般に副作用はその薬剤の薬効・薬理作用の延長線上にあると考えられます。主な副作用をあげます。

1.持ち越し効果
睡眠薬の効果(睡眠・鎮静、筋施緩作用等)が翌日まで残り、日中の眠気・ふらつき、脱力感・倦怠感、頭重感などの症状が見られます。長時間作用型の薬剤ほど出現しやすく、また高齢者ほど出やすい傾向にあります。日中のQOL(quality of life : 生活の質)に影響するようなら、減量するか、作用時間の短いものへの切り替えが必要です。ただし、薬物の血中濃度半減期は個人差があるため、超短時間や短時間作用型の薬剤が常用量で処方されていても人によっては持ち越し効果が生じる場合があります。

2.一過性前向性健忘
一過性前向性健忘は服用後から薬効が現れている時間内の記憶障害で、他人から見ると全く普通に見える行動ですが覚えていない状態です。たとえば、睡眠薬を服用して夜中に起きて食事をした場合、食事をしたことを記憶していないといったエピソードが生じます。記憶障害は可逆性です。高力価で作用時間の短いものほど、また高用量であるほど起こりやすいと言われています。アルコールとの併用で特に出現しやすいので、アルコールとの併用は避けることです。

3.反跳性不眠・離脱症候
睡眠薬を連用し、不眠状態が改善されたのを機に、服用を急に中止した時、以前よりも強い不眠が現れることが反跳性不眠です。急に薬物を中止することで、不安、振戦、発汗、焦燥感、まれにせん妄などの離脱症候が出現することがあります。

4.筋弛緩作用
筋弛緩作用はBZ系薬物が元々持っている薬理作用の1つです。ふらつきや転倒の原因となり、QOLに著しく影響します。ω1選択性の高いゾルピデム(マイスリー)やクアゼパム(ドラール)は筋弛緩が少なく、高齢者には推奨されますが、動物実験においてω1/ω2の選択比はわずか10前後ですので、用量が多くなれば、臨床上は変わりがないかも知れませんので、注意が必要です。

5.奇異反応
ごくまれに本来のBZ系薬物の作用とは逆の、不安・緊張の増大、多動、興奮や攻撃性などを示す状態が現れることがあります。高力価、高用量を服用した場合に起こりやすいとされていますが、特に超短時同型睡眠薬トリアゾラム(ハルシオン)とアルコールの併用による報告があります。

その他の注意

1.急性閉塞隅角緑内障の患者
一般にBZ系薬剤には抗コリン作用があります。抗コリン作用により眼圧が上昇するおそれがあるため禁忌になっています。しかし開放隅角緑内障や閉塞隅角緑内障の場合でも治療されていればBZ系薬剤の使用はできますので、BZ系薬剤投与の前に眼科医師に相談することをお勧めします。エスタゾラム(ユーロジン)にはこの記載がありません。
2.呼吸機能低下の患者
BZ系睡眠薬は、健康な人では呼吸器系にほとんど影響を与えませんが、肺気腫、気管支喘息および脳血管障害の急性期などで呼吸機能が高度に低下している患者さんに投与すると、呼吸不全を悪化させる可能性があり、原則禁忌になっています。

まとめ

不眠症のタイプなどから適切な睡眠薬を選択し、適正使用することが大切です。依存性や耐性などを考慮して、できるだけ少用量、短期間(4週間以内)、間欠処方が望ましいと思われます。ただし、神経症やうつ病など精神科的疾患に伴う不眠の患者さんでは安定した睡眠を得ることが精神科的疾患の治療として必要であり、長期間にわたって連続服用する場合も多いと思われます。ちなみに米国の添付文書では、ω1選択性の薬剤も含めて睡眠薬は「通常7〜10日間の投与。2〜3週間以上投与する場合は、患者の状態を再評価することが推奨
される。なお、1ヵ月を超える量を処方しないこと。」と記載されており、トリアゾラム(ハルシオン)には「短期間のみの使用」と明記されています。
適正使用のためには睡眠や睡眠薬に対する正しい知識を患者さんに伝えること、そしてより良い睡眠をとるための睡眠環境や生活習慣も含めた服薬指導が重要と思われます。

ベンゾジアゼピン・同類似薬 患者服薬指導時の注意
[BZ系共通の患者への注意]
1.眠気、ふらつき、脱力感、さらに高齢者では運動失調など、頻度の高い副作用を説明しておく
2.車の運転、機械の操作をしない(眠気、注意力・反射能力低下のため)
3.記憶喪失:特に高用量、飲酒で増強(短時間作用型で多い)される
[超短時間型]

(メーカー)
特徴・患者への注意
一般名:ゾルピデム
商品名:マイスリー(藤沢)
・就寝直前に服用
・睡眠中の中途覚醒時や、睡眠時間不十分、覚醒後数時間の出来事について、記憶喪失

一般名:トリアゾラム
商品名:ハルシオン(ファイザー)
・就寝直前に服用
・睡眠中に一時起きる予定の時は禁忌
・絶対に禁酒→異常行動
・グレープフルーツを避ける→吸収増量

一般名:ゾピクロン
商品名:アモバン(中外)
・就寝直前に服用
・唾液中に4%排泄→口中が苦くなる
・睡眠途中から、・時起床し仕事をする時は禁忌

[その他]
・クアゼパム(ドラール)
食事投与詳のAUC(area under the curve
倍に上昇するため、食事とは禁忌
血中濃度曲線下面積)が絶食時の2〜3
・フルニトラゼパム(サイレース、ロヒプノール)
米国への持ち込み禁止なので要注意

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