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睡眠の個人差

投稿日:2015年10月1日 更新日:

睡眠の個人差

女性の睡眠時間の年齢別国際比較

女性の睡眠時間の年齢別国際比較

朝型と夜型

あなたは朝型人間だろうか、それとも夜型人間だろうか。どちらともいえないと答える人も多いはずである。
朝型は早寝早起きで、寝起きがよく朝食もしっかりとって、午前中からバリバリはたらくタイプである。健康で善良な生活スタイルと考えられている。一方、夜型は宵っぱりの朝寝坊で、朝はめっぽう弱くて食欲もない。寝起きが悪く午前中はエンジンがかからない。食事をぬくことも多く、しきりとコーヒーを飲んだりタバコを吸って目をさまそうと努力するが、さほどに効果が出なくてイライラすることが多い。ところが午後になると生気がもどり、ぐんぐん仕事がはかどる。夕方から夜にかけて絶頂期を迎えるタイプが典型的な夜型である。
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1日24時間のサーカディアンリズムの個人差を研究していたスウェーデンの研究チームが朝型と夜型の存在に注目し、朝型と夜型のていどを測る質問紙を間発してから一躍有名になった。この質問紙を使って約1500人の大学生をしらべてみると、図3・1のようになる。

図3.1 朝型一夜型質問紙による得点分布

図3.1 朝型一夜型質問紙による得点分布

平均値をはさんで左右対称につりがね型の分布をしている。強い朝型は7・5%にすぎないが、強い夜型は23・2%でずっと多い。大学生は平均の左側(夜型)がふくらんでおり、宵っぱりで朝寝坊のほうが優勢である。この統計では男女の人数にかなりの開きがあるが、夜型がやや優勢であることに変わりはない。朝型と夜型の睡眠には具体的にどのていどの差があるのだろうか。就床時刻と起床時刻で見ると、朝型は平均23時38分に就床するが、夜型は1時8分で1時間30分遅い。起床も、朝型が平均6時55分であるのにたいして、夜型は8時12分で1時間17分遅い。たしかに遅いのだが、その差はたかだか1時間半だともいえる。
体温は、生物リズムを測るのに基本となる指標である。この体温の24時間リズムでくらべても、朝型と夜型のずれは1時間からせいぜい2時間である。
たったこれだけのちがいなのに、なぜ朝型は午前中からバリバリはたらき、夜型は昼過ぎ、ひどいときには夕方まで元気が出ないのだろうか。考えられる原因としては、夜型の睡眠の長さが少ないか、質が悪いかである。ところが、長さはほとんど変わらず、睡眠の内容もとりたてて夜型が貧しいということもない。寝つきのよさは朝型の特徴で、人眠時間が安定して短い。これにたいして、夜型の人眠時間は日によって不安定であり、概して長い。本人もこれを自覚しており、夜
型のほうに寝つきが悪いという不満が多い。同じ時間寝ているのに、睡眠不足を感じる人も夜型に多く、目ざめたときの気分が悪いとする人が圧倒的に多い。つまり夜型は寝つきも悪く、寝起きも悪い、さらに寝足りないという不満もかかえている。さらに興味深いのは、生活習慣の規則性である。朝型はじつに規則的で、就床時刻も起床時刻も、週7日をつうじてほとんど変わらない。ところが夜型はこれが不規則で、2時間以上前後することもめずらしくなく、月に1回以上徹夜をしたり、そのあとで長い昼寝をする人も多い。夜型は不規則で気まぐれなライフスタイルの人に多く、朝型は堅実なライフスタイルの人に多いといえる。1時間ていどの朝寝坊が、睡眠そのものにおよぼす影響はそれほどではないように見えるが、睡眠がいい評価をうけるためには、規則的な睡眠習慣が大切のようである。
ところで、主観的な評価のちがいには性格が関与するのではないか、という疑問もわいてくる。性格が関係するかどうかは、研究者で意見が分かれていて、結論は出ていない。どちらにも悩みはあり、背後には体質のちがいなど生物学的な個人差があると考える研究者もいる。
関係があるとする報告では、夜型は朝型より外向的で、神経質であり、さらに不安も高いため、つぎのようなことになっているという。このような性格の人は、周囲の影響を受けて生活が不規則になりやすく、だれにでもある目ざめた直後の眠気や、気分がすっきりしないことを過大に評価し、ふつうに寝ているのに不快感の原因を睡眠不足と考えやすい。また、神経質であるほど寝つきの悪いことが気になりやすく、寝起きの悪さにこだわりやすい。気ままな睡眠を楽しんでいるように見えて、夜型はそれほど楽しそうではなく、むしろ不自由な印象さえ感じられる。

朝型は夜ふかしができない

早寝早起きがいい生活習慣と考えられる社会では、夜ふかし朝寝坊にはなにかと風あたりが強い。欧米にも同じような精神風土があるようで、ヒバリ(朝型のシンボル)には早朝割引があるが、フクロウ(夜型のシンボル)にはこのような特典がないか、運が悪ければ割増金をとられることもある。
24時間休むことのない現代社会では、朝型も徹夜をしたり夜ふかしすることを避けて通るわけにはいかない。残業や夜勤はだれでもつらい。ところが、そのつらさは朝型の場合にいっそう深刻である。なぜなら朝型は早寝早起きしかできないので、夜ふかしをした日でも翌朝はいつものように目がさめてしまい、夜型のように朝寝坊して睡眠時間を確保することができない。
生活時間を後ろにずらすと、たちまち睡眠不足におちいって体調がくずれてしまう。一方、夜型は、不規則生活に強いというこのタイプ特有の底力を発揮し、夜勤にすぐれた耐性をしめす。夜勤が不可避な職場では、夜型が好ましい適性の1つとなっている。

図3.2 朝型と夜型の平均体温リズ ム,平均入眠潜時,睡眠時間(就床時 刻を変えた4条件下

図3.2 朝型と夜型の平均体温リズ
ム,平均入眠潜時,睡眠時間(就床時
刻を変えた4条件下

図3・2は、体温のリズムと関連づけながら、睡眠の時間帯を前にずらす(早寝早起き:位相前進)のと、後ろにずらす(宵っぱりの朝寝坊:位相後退)のとでは、睡眠にあらわれる影響はどのように異なるかを、朝型と夜型でくらべたものである。就床時刻がふだんより早い場合と遅い場合を4とおり用意し、睡眠時間をしらべている。
体温と睡眠の関係では、体温が高いときは起きてはたらくように体のあらゆるシステムがセットされており、体温が低いところでは体を休め、眠るようにセットされている。この原則にしたがえば、体温が下降している時間帯に寝れば休息相へとすすむのであるから、睡眠時間は長くなる。逆に体温の上昇期に寝ると、体は覚醒相へと向かうのであるから、睡眠時間は短くなってしまう。
朝型の体温曲線を見ると、夜の9時前から急勾配で体温が下がっており、夜中の1時にはピークに達している。朝型の人もふだんより早めに寝ると入眠潜時(斜線部)がすこし長くなり、寝つきは悪くなるが、夜型にくらべればごく軽いといえる。一方、遅いほうにずらすと、朝型の人では体温が上昇期に入ってしまうので、睡眠時間が短くなり、睡眠不足になる。
ところが、夜型の体温変化は、朝型のように、急勾配で下がり真夜中に頂点に達して回復上昇するというメリハリのよさがない。ゆるやかな勾配をえがいて降下するので、遅くなる分にはかなりの融通性を発揮する。早寝のほうにずらすと入眠潜時が大幅に増えるが、遅くする分には睡眠時間の短縮はほとんどおこらない。生活時間帯の急激な移動に強い耐性をしめしている。つまり、夜型は早寝で入眠障害を見せるものの、睡眠不足はそれほど深刻ではない。
このデータを見ると、夜型が「寝つきが悪い」とぶつぶつ言いながらも、不規則な生活をつづけられる秘密はここらにあるようである。一方、これまで模範的と思われていた朝型の人は、生活時間帯を移動させると睡眠時間が影響を受けるなど、耐性の弱さが目立つ。いいかえると朝型は、生活習慣の固さが強く、融通性がないということである。朝型の生活習慣が規則的であることは、規則的でなければ睡眠の量と質がたちまちおびやかされてしまうからである。
このように見ると夜型のほうが適応的に見えるが、いくら耐性があるからといって不規則な生活をつづければ体をこわすことには変わりがない。朝型が即応型に不調を訴え、生活を適正に保とうとするのにたいし、夜型は不調のあらわれが緩慢なため慢性化したり、大きな障害にまで発展してしまう危険性が高い。夜型の人にも夜勤病がおこることは、心にとどめておいていいことだろう。

朝型への切りかえ

年をとると朝型が多くなることはたしかだが、どの年齢も朝型?夜型得点の分布はつりがね型の正規分布をしめす。とうぜん、高齢者にも宵っぱりの朝寝坊の人もいれば、早寝早起きの人もいる。老人はだれもが早起きだと決めてかかられては、夜型の老人はおおいに迷惑である。
それでも、20代の社会人で夜型は5・4%であるが、30代で5・1%、40代で4・2%に減少する。この調査では50代では0%になって、強い夜型は姿を消している。50代以降では夜型といっても、ややその傾向があるというていどにとどまっている。
一方、朝型は20代の社会人で15・3%、30代で18・4%、40代で33・3%、50代で53・8%と、年を追って強い朝型の割合が高くなってくる。管理職の大半は40代以降であろうから、朝型が大半を占め、早寝早起きがとうぜんのことと励行されるのは、それなりに自然ななりゆきと思われる。
このような管理社会に入れば、若いほうも早起きになり、20代大学生の朝型が7・5%にすぎなかったのが、20代社会人になると倍の15・3%に跳ね上がる。夜型のほうも、大学生が23・2%であったのにくらべると、20代の社会人では5・4%と4分の1に激減している。新社会人の20%が夜型生活をやめ、ふつうか朝型生活に切りかえを余儀なくされている。
うまく切りかわればライフスタイルの問題ていどでおさまるのだが、切りかわりに失敗すると睡眠不足に追いこまれる。学生時代とちがって夜ふかしした分、朝寝坊でつじつまをあわせることはできない。夜型を保つかぎり、睡眠時間の短縮はまぬがれないので、週日は睡眠不足に耐えながら、土曜と日曜で睡眠負債を解消する、いわゆる寝だめをすることになる。
現代社会のストレスは、寝ぼけまなこで太刀打ちできるほど甘くはないので、切りかわりが遅れれば遅れるほど職場への適応が困難になり、深刻な不眠状態に追いこまれる。無理な生活は1か月が限界のようで、5月の連休前後に挫折する若者は少なくない。大学生の5月病とはまた別の問題で、5月は悩み多い月である。

短眠型と長眠型

自分にあった睡眠時間の長さは個人によってさまざまであり、人間に必要な長さは何時間であるのかはまだよくわかっていない。
アンケート調査でしらべてみると4〜11時間のはんいにおさまり、6〜9時間のあいだに全体の87%の人が入る。この幅は平均値の上下に1.5標準偏差分をとったはんいで、標準的な人と極端な人を区分する目安としてよく使われる。そこで6時間未満の人を短時間睡眠者(短眠型)、9時間をこえる人を長時間睡眠者(長眠型)とよび、睡眠構造や性格とのかかわりが検討されている。
わが国では年々短眠化かすすんでいるので、統計をとった時期によって多少のゆらぎは出るが、大学生を対象にしらべると短眠型は5・2%、長眠型は4・7%である。高校生でしらべても短眠型7・9%、長眠型3・3%で短眠型のほうがやや多い。高校生の短眠型は、受験勉強をしていることを考えれば、とうぜんともいえる。NHKの国民調査で有職者を対象にすると、短眠型が7・2%、長眠型が9・2%で、どちらのタイプも大学生よりもやや多い。大学生では
睡眠時間が日によって2時間以上変動する人(不規則睡眠者)がけっこう多い。このような人をのぞいて集計しているので、分布の両端に位置する極端な人たちの割合に影響が出ているのかもしれない。
睡眠時間の平均は7・5時間前後で、標準偏差は1時間である。これまで平均的な睡眠時間は8時間くらいと考えられてきたが、じっさいにはもうすこし短く、個人差もかなりあることがわかってきた。それにしても6時間以下で十分という人と、9時間以上でなければ寝た気がしないという人では、そもそも眠りにちがいがあるのか、それともライフスタイルなど個人の好みの問題なのであろうか。これまでの研究では眠りの構造が異なることとあわせて、性格のちがいも指摘されている。まず眠りのちがいについて見ることにしよう。

短眠型と長眠型の眠り
短眠型と長眠型の眠りの構造にちがいはあるのだろうか。

図3.3短眠型,長眠型,対照群における睡眠段階出現時間の比較

図3.3短眠型,長眠型,対照群における睡眠段階出現時間の比較

図3・3は、習慣的に睡眠時間が6時間の短眠型と、9時間の長眠型、それに平均的な7・5時間の睡眠をとる対照群について、一夜の睡眠記録であらわれた睡眠段階の出現時間をくらべたものである。
短眠型と長眠型のちがいは、中途覚醒(W)と段階1や2、レム睡眠の出現時間が長眠型で多いということである。段階3十4(徐波睡眠)にはほとんど差が見られない。睡眠段階の出現には時間特性があり、段階3十4は睡眠前半の3時間に集中してあらわれ、睡眠後半から明け方は段階2とレム睡眠が交互にあらわれる。睡眠時間を短くすれば朝方の睡眠が削られることになる。そこで段階3十4にはほとんど影響は出ないが、朝方に多い段階1や2が大幅に削られることになる。
ところが、レム睡眠は長眠型と短眠型のあいだには統計的な差がみとめられるが、短眠型と対照群とのあいだに差はみとめられない。睡眠周期ごとにくわしくみると、短眠型の眠りでは睡眠前半のレム睡眠が長眠型より持続が長くなっており、朝方が削られる分をおぎなうように分布のパターンを変えているのがわかった。
このように短眠型と長眠型の睡眠経過をくらべてみると、短眠型の睡眠はコンパクトで効率のいい睡眠であることがわかる。つまり、深い徐波睡眠は長眠型とほぼ同量をとっており、レム睡眠も対照群なみにとっている。そして、睡眠時間の短縮を中途覚醒や浅い段階1、中ていどの段階2を削ることで実現しており、むだのない睡眠構造になっている。このような睡眠時間の個人差は、体質など生物学的なちがいが関係しているであろうことは、多くの研究者がみとめるところであるが、ライフスタイルによってもあるていどは調整できるようである。

努力すれば短眠型になれる

かなり古い研究になるが、1977年にアメリカのマラニィらは、4組の夫婦に協力してもらい、6ヵ月にわたって睡眠短縮の実践研究をおこなっている。
3組は平均的な睡眠時間の夫婦で、一組はもともと短眠型の傾向にある夫婦であった。夫婦で電極をつけあえるので、週3日のポリグラフ記録も支障なくおこなわれた。睡眠時間をすこしずつ短縮していき、6ヵ月後には、4組8人のうち2人は5・5時間、4人は5時間、2人は4・5時間まで短縮することができた。
作業成績や心理テストの結果を見ると、6時間以下に短縮しても、とくに問題となる影響は出ていない。ただし、目ざめの気分が悪いとか、寝足りないという不満は残っていた。その後自由に生活してもらってから、一年後に追跡調査すると、平均6時間ていどの短眠型として生活しているのがたしかめられた。
その後の研究でも、睡眠時間の短縮は可能であるが、無理なく短縮できる限界は6時間であろう、というところにおちついている。
短縮をはじめてから一週間では、睡眠短縮による不眠の状態が、強い日中の眠気を引きおこし、人眠潜時の短縮と徐波睡眠の増加、中途覚醒の減少などをしめす。徐波睡眠の増加はいちじるしく、ほとんどの例で短縮前のレベルをこえる。一方、レム睡眠の増加は徐波睡眠のような即応性は見られず、短縮前のレベルに達するにはおよそ1、2カ月を要している。レム睡眠が短縮前のレベルに達するころになると、徐波睡眠のいちじるしい増加もストップし、短眠型の睡眠の構造に近づく。しかし、寝不足感や目ざめの悪さはまだ残っており、これが完全に落ちつくにはやはり6ヵ月を必要とするようである。

何の目的で睡眠時間を切りつめるのか、つまり動機づけの強さが睡眠時間短縮の成否を決定する。意味もなく短縮しても、ほとんど長つづきはしない。一方、短眠型の睡眠習慣は強い意志と忍耐力があれば、やってできないことはないといえそうである。

長眠型と短眠型の性格
長眠型と短眠型とで性格にちがいがあるのだろうか。
長眠型は内向的で非社交的、神経質な傾向が強い。また、抑うつ的で不安傾向も強く、気苦労がたえない。社会的、政治的に批判が多く、創造的である反面、社会的適応性が低いという傾向が報告されている。一方、短眠型は外向的で活動性に富み、精力的に仕事をこなす野心家で、こまかいことにはいっさい無頓着な、豪放屁落な行動傾向が特徴とされている。
長眠型は、世の中のつらさ・悲しさを分かちあうには打ってつけであるが、手をとりあって喜びを分かちあうにはやや気おくれしてしまう。他方、短眠型はいかにも仕事ははかどりそうであるが、万事ががさつでデリカシーに乏しい。どちらも極端になると鼻につくタイプで、うまくつきあっていくには、それなりの覚悟がいりそうである。
長眠型の睡眠の内容では、レム睡眠がひじょうに長い。気苦労の多い毎日の生活を考えると、かれらが恒常的に心理的ストレスにさらされていることが考えられる。レム睡眠が多いことから推測して、この睡眠が心理的ストレスを解消するのに役立っているのかもしれない、とする研究者もいる。ところが、急性のストレスがくわわると、第一周期のレム睡眠が消えてしまう。
さらに強いストレスがくわわると、第二周期のレム睡眠までおさえられることがある。これ以上強いと、睡眠そのものがこわされて、眠れなくなってしまう。急性のストレスでは、レム睡眠はストレスを吸収する前に消し飛んでしまう。
レム睡眠がストレスと緊密に関係していることは理解できることであるが、慢性的なストレスでレム睡眠が増加するという考えには疑問をもつ研究者も多い。また、長眠型の人が短眠型の生活習慣を身につけたら、性格まで変わるのかという質問には、十分な答えは用意されていない。かぎられた規模の実験研究の成果から、性格のように大きな個人差問題に言及するには、さらに大規模な実験研究が必要である。

長眠型も短眠型も極端になると死亡率が高くなる
アメリカのがん学会が、30歳以上の成人100万人を対象に睡眠調査をおこない、その後の6年間の死亡率を追跡調査している。その結果を、年齢と男女別にまとめたものが図3・4である。

図3.4 睡眠時間と6年間における死亡率の関係

図3.4 睡眠時間と6年間における死亡率の関係

睡眠時間が平均的な7〜8時間の人の死亡率がもっとも低く、それより睡眠時間が長くなっても短くなっても死亡率が高くなる。この傾向は年齢がすすむと、よりはっきりしてくる。とくに4時間以下の極端に短い人や、10時間以上という極端に長い人の死亡率は、平均的な睡眠時間の人の1.5〜2.8倍に達している。
男性高齢者は短眠型でやや死亡率が高く、女性高齢者では長眠型に死亡率が高いなど、このグラフから読みとるべき点は多いのであるが、なぜこのようなことがおこるのか、まだ結論は出ていない。現在もこのデータは解折中で、研究チームのリーダーである
サンディエゴ大学のクリプケは1999年の国際睡眠学会で、死亡率のもっとも低いのは睡眠時間が6・5〜7・5時間の人であり、この人たちを1.0として危険率を計算しなおすと、5・5〜6・5時間の人は1.1、7・5〜8・5時間の人は1.2で、長いほうに危険率が高くなるとしている。年齢別の修正データはまだ報告されていないが、危険率1.0の位置を8時間から30分下方修正し、寝すぎるほうが問題であろうとしている。
短眠型と長眠型の死亡原因はさまざまで、とくにどの病気が多いということはない。したがって、睡眠時間が特定の疾患を引きおこす原因になっているわけではないようである。しかし、死亡率の高い病気の症状として、睡眠障害がおこることは少なくない。また、不眠や睡眠過剰などの睡眠障害が病気を悪化させ、死亡率を高めていることも考えられる。
疫学的には6・5〜7・5時間ていどの睡眠をとるのが好ましいということになるが、このことがはっきりするのは60代以降である。60代以下では死亡率のかたよりはそれほどはっきりとは見られない。はたらきざかりの中年は自信満々で、極端な生活をつづけやすい。そのつけが高齢期に入ったところで、命の問題としてはねかえってきているのかもしれない。原因はまだわかっていないので、あまり神経質になるのも考えものだが、これを機会に生活習慣を点検してみることはいいことである。

世界でもっとも眠りの短い人たち

日本人の睡眠時間は、欧米のどの国民よりも短い。
20歳から59歳までの男女について国際比較したNHKの調査(1994年)では、日本人の平均睡眠時間は1日あたり453分、時間にして7・6時間である。これはカナダの489分(8・2時間)、アメリカの496分(8・3時間)、イギリスの511分(8・5時間)、オランダの492分(8・2時間)、デンマークの473分(7・9時間)、フィンランドの496分(8・3時間)にくらべて、20〜58分も短い。韓国との比較(1990年)では男女をこみにした成人の平均値が出ていないが、男性が475分(7・9時間)、女性が472分(7・9時間)で、日本人の平均より20分ていど長い。
国民平均がこれだけちがうと、日本人は短眠民族としてかなり目立った存在であることがわかる。日本人の平均睡眠時間が短い原因をしらべていくと、女性の睡眠時間がひじょうに短いということが、もっとも大きな理由のようである。欧米の国々で男女を比較すると、ほとんど差がないか、女性のほうが10〜20分ていど長い。ところが日本は男性が467分(7・8時間)で、女性の440分(7・3時間)より27分長い。もちろん、日本人の男性の平均時間は欧米の男性の平均487分(8・1時間)よりも20分短い。男女とも短いのだが、その短い男性よりもさらに女性の睡眠時間は短いので、世界一短いということになる。
どの年齢の人がどのくらい寝ているのかをくらべたものが、図3・5(男性)である。

女性の睡眠時間の年齢別国際比較

女性の睡眠時間の年齢別国際比較

図3.5 男性の睡眠時間の年齢別国際 比較(NHK放送文化研究所世論調査 部

図3.5 男性の睡眠時間の年齢別国際
比較(NHK世論調査部)

 

日本の男性は4つの年齢層のあいだに差がほとんど見られず、その差は1日あたりわずか6分にすぎない。これにたいして、女性では25分の差が見られ、年齢層で睡眠時間がかなり変動するところが特徴である。
そこで、年齢間の比較は女性を中心にすすめる。扉の図を見ると、睡眠時間がもっとも短いのは日本人の40代の女性であることが、一目でわかる。その長さは429分(7・2時間)で、これは欧米の40代女性の平均493分(8・2時間)とくらべると1時間4分も短い。この調査では年齢別に女性有識者と専業主婦の比較はなされていないが、それぞれの全体平均では女性有職者が438分(7・3時間)、専業主婦が441分(7・4時間)で、その差は3分にすぎない。
40代の日本の女性は、有職か否かを問わず、睡眠時間を切りつめて暮らしていると考えてまずまちがいないだろう。その他の生活行動の調査結果を総合して、この調査では、帰宅の遅い夫にあわせて就床時刻を遅らせ、朝は早く起きて中学生や高校生の弁当をつくる、家族の中心となってすべての人にあわせていくと、睡眠時間は世界一短くなるのだろうとしている。
日本人男性の有給労働時間は世界一長いが、家事労働の時間は世界一短い。それにたいして、女性はいち早く起きて弁当をつくり、朝食もつくる。そんなに忙しいのにだれも手伝わない。
生活様式は欧米化かすすんだといわれて久しい。しかし、これらの生活実態を見るかぎり、亭主関白の体質はいっこうに変わっていないと見ていいだろう。

規則型と不規則型

就床時刻や起床時刻、睡眠時間が、週4回以上、2〜4時間のはんいで変動すると、不規則型に分類する。3つの項目を得点化して、睡眠習慣の不規則度1から3まで分類することもおこなわれている。
不規則度1度は不規則型睡眠の傾向がある。2度は不規則型睡眠者である。3度は強い不規則型睡眠者であり、睡眠障害あるいは生物リズムの障害が疑われる。具体的にどのような生活になるかというと、6時に起きるときもあるが、9時まで寝ることもある。夜寝るのが11時であったり、夜中の2時過ぎになる、その結果、睡眠時間が5時間になったり、8時間になったりする。このような生活時間帯の移動をひんぱんにおこなうと、食事や排泄のリズムが乱れやすく、生活習慣全体が不規則になる。
現代人は週日を短眠型ですごし、土曜と日曜は長眠型に切りかえて寝だめをしようということが多い。これは週に少なくとも二回は時間帯移動をおこなうので、やや不規則な傾向をおびている。ここでおこるリズムの乱れは、長眠型への傾向を潜在的にもっているから、月曜の朝は「宵っぱりの朝寝坊」でむかえることになる。月曜日の午前中がぼんやりして仕事がはかどらない。気分が沈む。なにかにつけて不平や不満が多くなる。「ブルーマンデー(月曜日のゆううっ)」とよばれる現象は、軽い不規則型睡眠の徴候があらわれている証拠である。
金曜の夜に夜ふかしをして、土曜には早朝にゴルフに出かける、日曜の朝は思いきり寝坊して寝だめをし、その晩はむりやりに早寝をこころみる。たいていのばあい早寝はあまりうまくいかないので、月曜の朝は睡眠不足でむかえる。このあたりになると、時間帯移動はそろそろ4回をこえはじめる。週日を規則的にしていても、週末ではげしくくずしてしまえば、不規則型の徴候があらわれるのはとうぜんである。
自分は規則型と思いこんでいて、じつはかなりの不規則型であることは多い。不規則型の人では、朝食をとらない、夜食をとることが多い、徹夜の回数が多い、睡眠不足をおぎなう目的でとる昼寝が多い、など生活習慣が不規則であることが多い。不規則型の人は、朝型/夜型や長眠型/短眠型を分類するときに、どちらにもあてはめることができないので除外されてしまう。不規則さが極端になると、さまざまなタイプの極端なグループに重なりをもつので、それぞれの問題性をかかえこみ、ハイリスク(高危険)状態に踏みこみやすい。
ひんぱんに夜勤をくりかえすなど、不規則な時間のはんいが6時間をこえるときには、「頻回な時間帯移動にともなう睡眠?覚醒リズムの乱れによる障害」がおこる心配がある。とくに理由もなく不規則な睡眠習慣におちいってしまっているばあいには、「非24時間睡眠‐覚醒症候群」や「不規則睡眠?覚醒様式」などの睡眠障害が疑われる。
週を通して、睡眠をとる時間帯は、変動してもせいぜい1時間以内に、夜ふかし朝寝坊もせいぜい週に1回にしておくのが望ましい。健康な成人が週末に羽目をはずすとしても、せいぜいこのあたりを目安にしたいものである。

安眠型と不眠型
睡眠の質を問題にすると、寝つきがよく、途中で目がさめることもなく熟睡するタイプの安眠型(グッド・スリーパー)、その反対に、寝つきが悪く、熟随感のないタイプの不眠型(プア・スリーパー)に分けられる。
安眠型は、熟睡型または熟眠型としてもいいのであるが、熟睡や熟眠という言葉は、徐波睡眠が持続的にあらわれることを前提として使うことが多い。すでに述べたように、65歳以上の高齢者、とくに男性では、徐波睡眠がひじょうにわずかになっている。生物学的な熟睡はなかなかむずかしい。しかし、気持ちのいい寝つきと、気持ちのいい目ざめは年齢にかかわりなく、どの人にも体験されることである。やすらかな眠りは、とくに徐波睡眠を必須条件にはしない。そこで熟眠や熟睡でなく安眠を使おうということで、安眠型という表現になっている。
不眠型は、①寝つくまでにいつも30分以上かかり、②毎晩1回以上の中途覚醒があり、③じっさいの入眠時間の長さとは関係なく、寝つきが悪い(入眠困難)と思っている、タイプと定義されている。
安眠型は、①寝つくのに必要な時間は10分以下、②一度眠ったら睡眠中に目がさめることはない、③寝つきが悪いと困ったことがない、タイプと定義されている。安眠型の3つの条件を満足する人の割合は、調査によってかなり数値が異なる。社会人を対象とした調査では25〜30%、大学生を対象とすると25〜52%に分布するが、高校生では8〜15%と低い。一方、不眠型の3つの条件に該当する人の割合は、社会人で7〜10%、大学生で2〜13%、高校生で4〜8%である。学生では試験期間とその後ではかなり異なり、
社会人では決算期など繁忙期とその後で状態が大幅に変わる。高校生や大学生では安眠型が少なく、中間型が多い。不眠型がどの年齢層にも5〜10%を占めているが、この人たちが将来不眠症へと移行するのかどうかは明らかではない。
ここで注目しておく必要があるのは、睡眠ポリグラフ法で測定してみると、不眠型の人眠に要する時間(入眠潜時)はおよそ15分だということである。たしかに安眠型の基準である10分より長い。しかし、質問紙に書かれた主観的な時間は60分前後である。およそ4倍に過大評価されている。また、1分以内の中途覚醒はだれにでも一夜に十数回はあるのだが、ふつうそれを覚えている人はいない。不眠型の睡眠に中途覚醒がとくに多いとか、1回の覚醒時間が長いということもない。
人眠時間の過大評価や、中途覚醒に敏感であることから、寝つきが悪いことや熟睡できないことを過度に心配しているようすがうかがわれる。安眠型にくらべて、不眠型の自律神経系活動は、直腸温(深部体温)や皮膚抵抗変化などいくつかの指標で、わずかであるが高い値をしめす。交感神経系活動の興奮は、人眠するとすぐに下がるのがふつうであるが、不眠型ではこの下がりかたがやや弱い。心理的な過敏状態と自律神経系活動の亢進(緊張)をあわせ考えると、体質的な個人差よりも、なんらかの理由でフラストレーション事態におちいっているなど、緊張不安状態を背後にかかえていることが疑われる。

不眠型から中間型へ移行できる

寝つきのよさと睡眠中断がないという、二つの問題を克服すれば、安眠型までいかなくても中間型には移行できる。睡眠短縮の項で述べたように、睡眠短縮は入眠時間と中途覚醒が短縮し、むだのない睡眠経過をもたらすことができる。しかし、現在なんらかの病気を治療中の人は、勝手に睡眠短縮など生活変化ストレスとなることをはじめてはいけない。
とりあえず健康だが、寝つきが悪く、途中で目がさめるのでおもしろくないというていどの人は、早起きをしてみることである。いつもより早めに目をさます。これで軽い睡眠不足(睡眠短縮)がおこる。その晩はいつもより起きている時間が長いので、早起きした分だけ、早く眠くなるはずである。朝型への移行を目的にするなら、このときに眠ってしまえば早寝が実現し、早寝早起きの循環に入っていくことができる。ここでは短眠化による睡眠圧縮がねらいなので、すぐには眠らず、がまんしていつもの時間に寝るようにする。覚醒時間が長くなっている分、睡眠の必要性(睡眠圧)は高まっており、入眠潜時は短く、深い睡眠への移行もスムーズになる。翌朝はどんなに眠くても、がんばって初日と同様に早い時刻に目をさます。
急に2時間短縮などと無謀なことをせず、30分かせいぜい1時間の短縮をためしてみるのがいいだろう。睡眠の時間帯を前にずらすと、夜型も朝型も入眠時間が長くなっているので
(図3・2参照)、早寝は不眠型をさらに強調することになり、好ましくない。
睡眠習慣を変えようとするときは、早起きが大原則である。生活習慣の改善にはおよそ1カ月はかかるのがふつうであるから、3日坊主にならないように根気よくがんばることである。

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